静岡の和紙屋 ますたけ

店主のブログ
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祖父のこより
 昔は何でもなかったものが見直されている事実は、
和紙にまつわってもいろいろあります。
《こより》も、その一つと言えるかもしれません。

《こより》と言えば
この世にいれば113歳、明治生まれだった祖父を思います。
私の祖父は《こより》を、手慰みにいつも作っていて
キセルの掃除や帳簿を綴じるために使っていました。
指先をちょいと舐め、両手指の交互の捻じりによって紙がヒモになる様は
幼かった私には、魔法のように思えたものです。
私も指先をちょいと舐めて、同じに真似しても全く出来ず。
そして、祖父は《こより》をさらに捻じって四足動物も作ってくれました。
 
今、思うこと。
祖父流の《こより》の縒り方を、手に覚えておけばよかったと。
縒り方はわかれど、祖父のように細い棒のような仕上がりにはなりません。
  
細い和紙を手で縒るだけで、丈夫なヒモに。
その縒り終わりの和紙はこよりの証、何でもない物に美しさを感じます。

私の祖父は、着物が日常着で頭は坊主。
自転車も着物の裾をひるがえしながら乗っていて。
おじいちゃん子だった私は、いつも傍にいて。
あれやこれやの興味深い仕草をじっと観察していたのです。
《こより》から、思いがけず祖父を懐かしみました。


| masutake | ますたけの事 | 15:05 | comments(2)
はじめまして。
こよりに興味があり、こちらにたどり着きました。
お写真にあるお祖父さまの四足動物、
素晴らしい出来栄えで、見惚れてしまいました。
こちらは、糊などを用いずに仕上げてあるのでしょうか?
また、紙はどのようなものをお使いなのでしょうか?
唐突な質問で恐れ入りますが、
よろしければお返事をいただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

| tonouchi | 2019/02/18 6:05 PM |

私自身も、見ほれる勢いのあるこよりです。
コメント、とても嬉しく感じました。
ありがとうございました。
| ますたけ | 2019/02/21 5:35 PM |










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